社員の離職率を下げたい、離職を防止したいというのは多くの企業に共通する悩みかと思います。本記事では離職分析のポイントや分析ツール比較について解説します。※人事データ活用の基本を知りたい方は人事データ活用にありがちな悩みを解決! 人事データの種類や分析のポイントも合わせてご覧ください。離職防止によくある悩み社員の離職防止を行うときの悩みは以下の3つに大別されるかと思います。①分析に関する悩み(例)・どの部署・役職で離職率が高いのか分析できていない・何が原因が離職率が上がっているのか分析できていない②集計に関する悩み(例)データをダウンロードしてExcelで分析しようとすると手作業が大変③施策に関する悩み(例)離職率を下げるためにどんな施策を行えば良いか分からないこの記事では①②を中心に解説します。離職分析のポイントセグメントごとの離職率を調べる離職率の高いセグメントはどこかを分析します。離職率が他に比べて高いセグメントのほうが改善インパクトが大きいため、優先的に対策する必要があります。セグメントとしては社員の基本情報(性別、部署、役職、等級、職種、入社年度など)が有効です。※以下に記載するグラフは、クラウドワークスで開発している人事分析ツールHuman & Humanで出力したものです(詳細は後述)。↑職種ごとの離職率。営業の離職率が高いことが分かる。↑職種・年代ごとの離職率。20-30歳、50-60歳の営業の離職率が高いことが分かる。離職率と人事データの相関を調べる離職率の高いセグメントを発見したら、離職率と人事データ(残業時間、労働生産性、等級滞留年数、エンゲージメントスコアなど)を紐付けて分析します。これにより、どの指標が離職率と影響するのか把握し、仮説を立てることができます。(例)離職率と人事データとの相関仮説残業時間が長い社員ほど離職率が高い長時間労働で社員が疲弊しているエンゲージメントスコアが低い社員ほど離職率が高い社員が業務のやりがいや会社のミッションへの共感を感じていない給与が低い社員ほど離職率が高い給与に対して不満を感じている平均勤続年数が短い社員ほど離職率が高い入社後のフォローやオンボーディングが上手くできず新入社員が馴染めていないエンゲージメントスコアとの相関を分析する場合は、人事データと紐付けてのエンゲージメントスコアの分析のポイントもご覧ください。↑離職率と残業時間の相関を表す散布図。↑離職者の勤続年数ごとの分布。離職者の多くは3年以内に辞めていることがわかる。離職率の推移を調べる離職率の上昇原因がいつから発生しているのか把握できます。(例)・ある時期から離職率が上昇した → その時期に原因が発生した(組織や人事制度の変更、残業時間の増加など)・高い離職率が長期間続いている → 慢性的に原因が存在している(昔からの残業体質、低賃金など)↑男女別の離職率の推移。男性の離職率が一定なのに対し、女性のそれがある時期を境に急上昇していることが分かる。分析後のアクション原因に対する仮説を立てる上の分析プロセスを元に、離職がなぜ起きているかの仮説を立てます。データだけを見ても仮説が立てづらい場合、360度評価・サーベイの回答内容などの定性情報を調べたり社員にヒアリングするのも有効です。アクションプランを考える仮説を踏まえて、それを解決するためのアクションを考えます。例えば、以下のようなアクションが考えられます。(例)離職率が高い原因の仮説アクション長時間労働による疲弊・スキル研修・業務効率化のツール導入・人員の追加職場の人間関係の不仲・チームビルディング研修・1on1の導入・人員配置の変更給与に対する不満・給与制度の見直し・ストックオプションの発行今後のキャリアに対する不安・キャリア研修・副業の奨励・ジョブローテーションの導入ただし、人事制度や組織の変更などを伴う大規模なアクションになるほど効果が出るまでに時間がかかります。アクションが現実的に実行可能か、解決までのスピードが見合っているかなども踏まえて検討しましょう。離職率と人事データの変化を時系列で見るアクションを実施した後、離職率や相関の強いデータの変化を定点観測します。アクションから数値に反映されるまでタイムラグがあることが多いので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、原因の仮説やアクションを見直しましょう。分析例離職率をセグメントごとに調べた結果、以下の結果を確認できた・開発部門の社員が離職率が高い上のセグメントについて人事データとの相関分析を行った結果、以下の結果を確認できた・離職率と残業時間の相関が強い・離職者の平均勤続年数が3年と短い・開発部門の新入社員が増えた2年前から離職率が上昇している上記の結果から、以下の仮説を立てた・開発部門の若手社員が残業過多で疲弊している以下のアクションプランを立てて実行した・開発部門の若手向けのスキル研修・残業削減のための制度設定(ノー残業デーなど)離職率の変化を定期的(3ヶ月後、6ヶ月後など)に調べる離職分析の課題データの前処理が大変離職率と人事データの相関を調べるためには様々なデータが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(社員情報はタレントマネジメントシステム、残業時間は勤怠管理システム、エンゲージメントスコアはサーベイツールなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。BIツールの比較汎用型と人事特化型上記を踏まえて、離職率を分析する際にはBIツールを導入することがおすすめです。BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、離職分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されているため、設計コストやデータのコストを小さく抑えることができます。また、他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートもしてくれるため、データ分析の8割とも言われる前処理コストを大きく削減できます。1クリックで色々な軸でデータを分析でき、複数軸のかけあわせもできます。(例)部署別×男女別の離職率散布図やヒートマップを使って複数の人事データの相関を調べることもできます。(例)残業時間と離職率の相関また、取り込んだ人事データを元に、人的資本開示の項目を自動集計してくれます。特に離職率については離職率の時系列での把握様々なセグメント(部署、役職、等級など)での分析他の人事データとの相関分析などのレポート、グラフが標準で用意されており、簡単に分析できます。↑時系列分析↑セグメント分析Human & Humanについて詳しく知りたい方は、以下より資料請求・トライアル申込お願いいたします。