本記事ではタレントマネジメントシステムの導入を検討されている人事の方向けに、タレントマネジメントシステムの概要や種類、人事データ分析を行う上での課題について解説します。タレントマネジメントとは概要タレントマネジメント(タレマネ)とは元々1990年代後半にアメリカで提唱された概念です。団体や企業によって定義の違いがありますが、基本的には組織の成長や人事戦略の達成のために人材を管理する手法と言えます。タレントマネジメントシステムとは名前の通りタレントマネジメントを実現するツールであり、人材管理のために以下のような機能を搭載しています。社員の基本情報の管理社員の能力やスキルの管理目標(KPIやOKRなど)の管理人事評価の管理サーベイの実施etc.メリット企業がタレントマネジメントを行うメリットは以下の通りです。従業員や組織の情報(離職率など)を把握しやすくなる従業員の強みやスキルを把握し、人材育成や人員配置の計画を立てやすくなる従業員に紐付く人事業務(入退社管理、人事評価、サーベイなど)を行いやすくなる人事労務との違いタレントマネジメントと人事労務は非常に近しい領域ですが、その目的が異なります。前者は「組織の成長」「人材の活用」などに重きを置くのに対し、後者は「労働環境の整備」「雇用の管理」などに重きを置いています。そのため、タレントマネジメントシステムと人事労務システムでは搭載する機能も異なります。タレントマネジメントシステム人事労務システム目的組織の成長、人材の活用労働環境の整備、雇用の管理機能例社員情報の管理勤怠管理目標管理給与計算サーベイ入退社管理人事評価年末調整タレントマネジメントシステムの種類タレントマネジメントシステムは「一体型」と「特化型」の2種類に分けられます。一体型前述のタレントマネジメント・人事労務全てに対応できるタイプです。メリットは1つのシステムで業務を完結できる点、人事データの一元管理をしやすい点ですが、機能が豊富な分高額になりやすい、学習コストが高いといったデメリットもあります。また、タレントマネジメントに特化したシステムではない分、特化型に比べて機能やできることに制約があることも多いです。特化型タレントマネジメントに特化したタイプですが、その中でもタレントマネジメント全般をカバーできるもの、目標管理機能が強いもの、サーベイ機能が強いものなど、色々な種類があります。メリットは一体型に比べて安価で学習コストが低い点ですが、人事労務はカバーできないので別システムが必要になる点、人事データの一元管理が難しい点はデメリットです。一体型、特化型の特徴をまとめると以下の通りです。特徴一体型特化型価格高い低い学習コスト高い低いタレントマネジメント機能弱い強い人事労務対応可対応不可人事データの一元管理易しい難しいタレントマネジメントシステムによくある課題システムの設計コストが高いタレントマネジメントシステムでは社員の基本情報人事評価給与情報サーベイ情報など様々な人事データを管理できるようにデータベースや項目が用意されており、利用企業でもそれらを自由に作成できることが多いです。例えば、社員の売上や労働時間などを元に、労働生産性を計算する項目を作成できます。しかし、自由に作成できる分、テーブル設計やシステムの知識が無いとデータの管理が煩雑になりますし、「データの分析のしやすさ」「「AIで学習しやすい構造化」などを意識しながら作成するのは大変です。データ分析が弱いタレントマネジメントシステムにもデータ分析機能が搭載されていますが、制約があり自由に分析できないこともあります。例えば、某社のシステムでは現時点での社員や組織のデータのみ集計可能であり、特定時点(2025年1月時点など)に遡ってデータを見る特定時点(3年前など)から現時点までの時系列でデータの変化を見るといった集計ができません。また、サーベイを実施して社員の属性(部署や役職など)ごとにエンゲージメントの傾向を見ることはできますが、他の指標(離職率など)との相関分析、クラスター分析、回帰分析などの高度な分析はできません。タレントマネジメントシステム内で分析できない場合はデータをダウンロードしてExcelなどで行うことになりますが、Excelでデータを加工・集計したりグラフや図を作るのには時間がかかるため、Excelでの分析も簡単とは言えません。特化型では人事データの一元管理が難しい価格や学習コストが低い、機能が強いという理由で特化型のタレントマネジメントシステムを導入する企業が増えていますが、特化型では人事労務業務を行えないので、システム上で人事労務のデータを分析することはできません。もしタレントマネジメントシステムと人事労務のデータをかけあわせて分析したい場合(例えば社員ごとの売上や労働生産性を計算したい)場合、双方のシステムからデータをダウンロードするExcel上でデータを突合するデータを分析するという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。タレントマネジメントシステムとBIツールの比較こうした事情から、人事データの分析を行いたい場合はBIツールを活用するシーンが増えています。Excelでの課題BIツールのメリット分析内容に応じてグラフやレポートを作り変えるのが大変分析でよく使うグラフを簡単に作成できる(例)散布図、ヒートマップ、ヒストグラム、箱ひげ図クラスター分析など高度な分析になるほどExcelで行うのが大変色々な分析機能が用意されている(例)時系列分析、相関分析、クラスター分析、回帰分析関数やマクロを作り込むほど属人化が進むレポートやダッシュボードがあれば誰でも分析ができるタレントマネジメントシステムの課題BIツールのメリットデータの前処理が大変API連携などによりデータの前処理が簡単データを時系列・特定時点で分析できないデータを時系列・特定時点など色々な角度で分析できる高度な分析に対応できない(例)相関分析、クラスター分析、回帰分析色々な分析機能が用意されている一方、BIツールはデータを活用した戦略人事など各種施策への意思決定には有効ですが、年末調整や各種申請フローの管理など人事労務業務を行うことには適していません。自社のやりたいことに合わせてどちらを導入するか決めましょう。※BIツールについて詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。BIツールを使う場合、クラウドワークスで開発しているHuman & Humanがおすすめです。Human & Humanの特徴は以下の通りです。設計コスト人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されている。データの集計コスト他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートも用意。権限管理部署・職種・役職に合わせて各データの閲覧・編集権限を管理できる。学習コスト1クリックでデータのかけあわせができるので、データ分析に詳しくない人事でも簡単に操作可能相関分析散布図やヒートマップを使って簡単に分析できる。(例)データを時系列で分析できる他、指標をかけあわせた分析も1クリックで可能(例)ヒートマップで相関の強い指標を一目で把握できるHuman & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下より資料請求お願いいたします。製品を実際に触りたい方はトライアルにお申し込みください。