本記事では人事評価(人事考課、アセスメント)に悩む企業向けに、人事データから人事評価の課題を把握する方法について解説いたします。また、記事の最後では人事データ分析ツールHuman & Humanについてもご紹介しています。詳しく知りたい方は以下をご覧ください。機能導入事例資料請求サービス説明・デモ依頼人事評価とは概要人事評価とは、上司が社員(特に部下)の能力や成果を評価することです。その目的は以下の通りです。社員の昇給、昇格、賞与などの処遇を決定する社員の能力や強み・弱みを評価し、成長を支援する会社として社員に期待する行動や成果を明確にし、社員の行動を戦略と揃える人事評価は給与・昇格などに大きな影響を与える上、社員が会社からどのように評価されているかを測る指標にもなるため、「人事評価の適正さ」や「納得感」は社員のモチベーションなどに大きな影響を与えます。人事評価と退職の相関を厳密に調べた統計はありませんが、株式会社コーナー・株式会社マクロミルが2025年に行った調査によると、離職を考える理由として「給与・報酬が期待に見合っていない」「評価・昇進の基準が不透明」が多くなっています(出典: 【静かな退職実態調査レポート】静かな退職層が4割、不満の理由TOPは「給与」「評価基準」、組織の信頼・パーパス共感不足も)。評価方法人事評価にも様々な評価方法があります。それぞれにメリット、デメリットがあるので、どれか1つではなく複合的に使うのが望ましいでしょう。業績(成果)評価社員が達成した業績や成果(売上、KPIなど)を元に行う評価です。この手法のメリットは、業績や成果が定量的な結果として可視化されているので客観的な評価がしやすいこと、社員にとって評価の納得感が大きいことです。一方、定量的に評価できない仕事や部門が評価されづらい、外部要因(景気など)の影響を受けやすいなどのデメリットもあります。能力評価社員のスキルや能力を元に行う評価です。業績に表れない定性的な部分も評価できることがメリットですが、定量化しづらいので上司の主観に依存しやすいなどのデメリットもあります。情意(行動)評価社員の日々の行動(積極性、協調性)を元に行う評価です。能力評価と同じく定性的な部分も評価できることがメリットですが、能力以上に上司の主観に依存しやすいこと、成果やスキルと直接結びつきづらいなどのデメリットがあります。360度評価との違い人事評価と並行して360度評価を実施する企業も多いですが、両者には以下のような違いがあります。項目人事評価360度評価目的昇給・昇格・等級決定など処遇の判断行動特性や職務遂行能力のフィードバック・成長支援評価者主に上司(1人〜少数)上司・同僚・部下・他部署・顧客など多方面評価視点業績・成果・職務遂行度行動・仕事の進め方・協働・リーダーシップなど評価の客観性評価者による偏りが出やすい多面的評価で偏りが軽減されやすい評価のタイミング半期・年度など定期的必ずしも処遇タイミングに合わせない人事評価によくある課題人事評価においてよくある課題は以下の通りです。課題になる理由内容評価が属人的になりやすい評価者の主観が強く入り、基準が統一されないため不公平が発生しやすい。評価基準が曖昧何を評価しているのか社員が理解できず、納得感を得られない。評価者ごとのバラつき“甘い評価者/厳しい評価者” が存在し、同じ成果でも評価が異なる。フィードバック不足評価面談が形骸化し、成長支援や改善指導が十分に行われない。昇格・昇給と評価が結びつかない「高評価なのに昇格しない」「部署によって昇格スピードが違う」など整合性の欠如。評価が戦略と繋がっていない組織として重要な行動を評価できず、行動指針や事業方針が浸透しない。人事評価の課題の分析こうした課題を人事データから把握し、解決する方法をご紹介いたします。評価者ごとのバラつきの可視化多くの会社では人事評価においてS・A・Bなどの評価ランクを付けていますが、人事評価を行う上司や部門によっては評価の内訳がバラつくことがあります。(例)部署AではSランクを付けられた社員が30%もいるのに、部署Bでは10%しかいない(Aに比べてBの評価が厳しい)バラつきが大きすぎると、「部署A/Bの社員は優遇/冷遇されている」などの不公平感を生む恐れがあります。そこで、評価者・部門ごとの評価分布を作成し、バラつきが無いかを確認します。出典:人事評価の分析部署に複数の評価者がいる場合は、評価者ごとの評価分布を見ることも有効です。(例)部署Aには課長M・Nがおり、MからSランクが付けられた社員は10%だけだがNは20%もいる(Mに比べてNの評価が甘い)何をもってバラついているとみなすかの判断基準には、いくつかの考え方があります。絶対評価会社が「Sランクは社員の10%、Aランクは20%」などの目安を設けているのに、部署AはSランクが30%もいる相対評価各部門のSランクの割合は平均15%なのに、部署Aは30%もいる会社側でランクの内訳の目安を設けている場合は絶対評価が有効ですが、そうでない場合は相対評価を使うと良いでしょう。評価フィードバックの質の分析人事評価とは社員の成長を促す機会でもありますが、上司からのフィードバックのコメントが薄すぎたり具体的な評価が無いと、「自分は会社から正当に評価されていない」と社員の不満を蓄積してしまいます。そこで、評価者・部門ごとのコメントを分析し、質の低いフィードバックが無いかを確認します。例えば、以下のような方法があります。評価者ごとのコメントの文字数の多さで判断するもちろん文字数が多ければ一概に良いわけではありませんが、コメントが明らかに少なすぎる場合、内容が薄くフィードバックにほとんど力を入れていないと考えられます。(例)部長Aの部下1人に対するフィードバックのコメントは平均15文字しかないコメントの内容で判断する前述の通り、人事評価とは社員の業績・能力・行動などを元に評価するので、コメントではそれらを踏まえて「なぜこの評価を付けたのか」という理由が含まれるべきです。ところが、コメントに評価の理由が書かれていなかったり、業績や能力への言及が一切無い場合、社員にとって納得感のあるフィードバックになっていないと考えられます。コメントのポジティブ/ネガティブの傾向で判断するフィードバックのコメントはポジティブ(社員への評価や賞賛)、ネガティブ(指導や注意勧告)がバランスよく含まれるべきです。ところが、部下に対してネガティブなコメントだけ行う、特定の部下にだけポジティブなコメントばかり行うなどの偏りがある場合、フィードバックの質に問題があると考えられます。こういった分析はフィードバックを実際に1つずつ読んで確認することもできますが、社員数が多い会社では現実的に厳しいので、コメントの内容を判断する自然言語処理のアルゴリズムを開発するなども検討しましょう。評価と社員のパフォーマンスの相関分析低い評価を付けられた社員は業務に対するモチベーションが下がったり、離職意志が高まってしまうことがあります。そこで、低い評価を付けられた社員の成果やエンゲージメントを分析することが重要です。例えば12/1に社員に対して人事評価を伝えた場合、12/1前後での成果やエンゲージメントの変化を調べます。一時的に下がったがその後回復することもあるので、短期的に判断せず数週間〜数ヶ月の推移を見るようにしましょう。もし減少傾向が数ヶ月も続いている場合、社員へのフォローが必要です。分析後のアクション原因に対する仮説を立てる上の分析プロセスを元に、人事評価が適切に付けられていない原因の仮説を立てます。データだけを見ても仮説が立てづらい場合、360度評価・サーベイの回答内容などの定性情報を調べたり社員にヒアリングするのも有効です。アクションプランを考える仮説を踏まえて、それを解決するためのアクションを考えます。例えば、以下のようなアクションが考えられます。不適切な人事評価の仮説アクションプラン評価基準が曖昧で、言語化されていない・評価基準を行動レベルまで具体化する・職種別・レベル別に期待行動を明確化・評価基準ガイドラインを作成し全社共有評価者ごとに基準が異なる・評価者研修(観点、事例、ロールプレイ)を実施・評価会議で基準のすり合わせを行う評価者が十分に部下を観察していない・1on1ミーティングを制度化・観察ポイントのチェックリストを作成上司がフィードバックに慣れていない・具体例を書くための教育・テンプレートの提示ただし、人事制度や組織の変更などを伴う大規模なアクションになるほど効果が出るまでに時間がかかります。アクションが現実的に実行可能か、解決までのスピードが見合っているかなども踏まえて検討しましょう。データの変化を時系列で見るアクションを実施した後、データの変化を定点観測します。アクションから数値に反映されるまでタイムラグがあることが多いので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、原因の仮説やアクションを見直しましょう。人事評価の分析の課題データの前処理が大変人事評価と人事データの相関を調べるためには様々なデータが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(人事評価は人事評価システム、社員のスキルはタレントマネジメントシステム、エンゲージメントはサーベイツールなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の人事評価データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい人事評価と社員の成果の相関を見たい→次に人事評価とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。多くの指標の相関分析が大変相関分析を行う流れは以下の通りです。「ある指標とパフォーマンスの相関が強い」と仮説を立てるその指標とパフォーマンスの相関係数を調べる相関が強い指標が見つかるまで1〜2を繰り返すパフォーマンスと相関の強い指標がなかなか見つからない場合、相関分析を何度も行う必要があり大変です。※Excelを使った人事データについては別の解説記事をご覧ください。上記を踏まえて、人事評価の分析ではExcelを脱却し、分析ツールを導入することをおすすめします。分析ツールを早めに導入すべき理由人事評価の分析に限らず、人事や組織開発の業務は「重要度は高いが緊急度が低い」ものが多いため、課題を感じながらもExcel運用を続けている企業が多いのですが、なるべく早めの導入をおすすめします。その理由は以下の通りです。組織の機会損失の防止Excel運用を長く続けるとExcelが複雑化し(膨大な関数やタブ・データの繋ぎこみなど)、「Excelを扱える人事が少ない」「Excelでの集計に時間がかかる」などの課題が発生します。人事の多くの時間がExcelに割かれてしまい、組織の活性化やパフォーマンス向上などに時間を割けなくなってしまいます。組織の機会損失を防ぐためには、今問題になっていないとしても、早めにExcelを脱却してツールを導入することが重要です。他社に対する競争力拡大以前はLINEヤフーなどのITベンチャー企業を中心に分析ツール活用が進んでいましたが、最近では様々な業界の大手企業でも活用が進んでいます。企業名業種パナソニック製造日本たばこ産業たばこmixiITキリンホールディングス食品大成建設建設ハウスメイト不動産※出典記事は企業名のリンク先を参照同業他社が既に分析ツールを導入している場合は他社に乗り遅れないように、まだの場合は他社に差をつけるべく、早めに分析ツールを導入しましょう。分析ツールの違いBIツールとタレントマネジメントシステムの違い人事データの分析ツールとして有名なのはBIツールとタレントマネジメントシステムですが、両者には以下のような違いがあります。メリットデメリットBIツール色々な分析に対応できる人事業務を行うことができないタレントマネジメントシステム1つのツール上で分析から人事業務まで完結できる分析機能に制約が多いそれぞれメリット、デメリットがありますが、分析をメインで行いたい場合はBIツールをおすすめします。※BIツール、タレントマネジメントシステムの解説記事もご覧ください。BIツールの比較汎用型と人事特化型BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、残業時間の分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。Human & Humanの特徴は以下の通りです。設計コスト人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されている。データの前処理コスト他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートも用意。権限管理部署・職種・役職に合わせて各データの閲覧・編集権限を管理できる。学習コスト1クリックでデータのかけあわせができるので、データ分析に詳しくない人事でも簡単に操作可能相関分析散布図やヒートマップを使って簡単に分析できる。Human & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下よりお問い合わせお願いいたします。おすすめの記事人事データ分析について知りたい方は、タグ:人事データ分析のポイントをご覧ください。人事に関するシステムやツールについて知りたい方は、タグ:人事システム・ツールをご覧ください。