社員の残業時間を減らしたいというのは多くの企業に共通する悩みかと思います。本記事では残業時間の分析ポイントや分析ツール比較について解説します。※人事データ活用の基本を知りたい方は人事データ活用にありがちな悩みを解決! 人事データの種類や分析のポイントも合わせてご覧ください。残業削減によくある悩み社員の残業時間を減らすときの悩みは以下の3つに大別されるかと思います。①分析に関する悩み(例)・どの部署・役職で残業時間が多いのか分析できていない・何が原因が残業時間が増えているのか分析できていない②集計に関する悩み(例)データをダウンロードしてExcelで分析しようとすると手作業が大変③施策に関する悩み(例)残業時間を減らすためにどんな施策を行えば良いか分からないこの記事では①②を中心に解説します。残業時間の分析のポイントセグメントごとの残業時間を調べるまずは残業時間の多いセグメントはどこかを分析します。残業時間が他に比べて多いセグメントのほうが改善インパクトが大きいため、優先的に対策する必要があります。セグメントとしては社員の基本情報(性別、部署、役職、等級、職種、入社年度など)が有効です。↑職種ごとの残業時間の推移。経営企画の残業時間が多いことが分かる。残業時間と人事データの相関を調べる残業時間の多いセグメントを発見したら、残業時間と人事データ(労働生産性、有給取得率、ストレスチェックデータなど)を紐付けて分析します。これにより、何が残業時間の増加に影響しているのか把握し、仮説を立てることができます。(例)労働生産性と人事データとの相関仮説残業時間が長い社員ほど労働生産性が低い長時間労働で社員が疲弊しているエンゲージメントスコアが低い社員ほど労働生産性が低い社員が業務のやりがいや会社のミッションへの共感を感じていない等級が低い社員ほど労働生産性が低い等級が低い社員のマネジメントが上手く機能していない(例)・残業時間と労働生産性の相関が強い場合→非効率的な働き方により残業時間が増えている・残業時間とストレスチェックデータの相関が強い場合→社員のメンタルヘルス不調により残業時間が増えている↑残業時間とエンゲージメントスコアの相関が弱いことが分かる。残業時間の多い時期を調べる部門や職種によっては繁忙期が存在するため、特定の月、時期(月初・月末)に残業時間が増えていないか調べます。(例)・経理部門の月初の残業時間が多い→請求書の発行や月次決算業務が多い・人事部門の4月の残業時間が多い→新入社員の受け入れ業務が多い残業時間の推移を調べる残業時間の増加がいつから発生しているのか把握できます。ある時期から残業時間が増加した → その時期に原因が発生した(組織や人事制度の変更など)残業が長期間続いている → 慢性的に原因が存在している(昔からの残業体質、低い労働生産性など)↑開発グループの残業時間の推移。2024年8月頃から残業時間が増加傾向にあることが分かる。分析後のアクション原因に対する仮説を立てる上の分析プロセスを元に、残業時間がなぜ増えているかの仮説を立てます。データだけを見ても仮説が立てづらい場合、360度評価・サーベイの回答内容などの定性情報を調べたり社員にヒアリングするのも有効です。アクションプランを考える仮説を踏まえて、それを解決するためのアクションを考えます。例えば、以下のようなアクションが考えられます。残業時間が長い原因の仮説アクション非効率的な業務環境・業務効率化のツール導入・業務フローや業務内容の見直し職場の人間関係の不仲・チームビルディング研修・1on1の導入・人員配置の変更社員のメンタルヘルス不調・産業医との面談・1on1の導入人員の不足・人員の異動・人員の新規採用ただし、人事制度や組織の変更などを伴う大規模なアクションになるほど効果が出るまでに時間がかかります。アクションが現実的に実行可能か、解決までのスピードが見合っているかなども踏まえて検討しましょう。残業時間と人事データの変化を時系列で見るアクションを実施した後、残業時間や相関の強いデータの変化を定点観測します。アクションから数値に反映されるまでタイムラグがあることが多いので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、原因の仮説やアクションを見直しましょう。分析例残業時間をセグメントごとに調べた結果、以下の結果を確認できた営業部門の社員が残業時間が多い上のセグメントについて人事データとの相関分析を行った結果、以下の結果を確認できた・営業部門の労働生産性は他部門に比べて変わらない・残業時間と業務量の相関が強い・残業時間の増加は数年前から続いている上記の結果から、以下の仮説を立てた営業部門の業務量に対して人手が不足しており、残業過多になっている以下のアクションプランを立てて実行した・他部門から営業部門に人員を異動させる・営業部門の人材を新規採用する残業時間の変化を定期的(3ヶ月後、6ヶ月後など)に調べる残業時間の分析の課題データの前処理が大変残業時間と人事データの相関を調べるためには様々なデータが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(社員情報はタレントマネジメントシステム、残業時間は勤怠管理システム、有給取得率はワークフローシステムなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。BIツールの比較汎用型と人事特化型上記を踏まえて、残業時間を分析する際にはBIツールを導入することがおすすめです。BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、残業時間の分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されているため、設計コストやデータのコストを小さく抑えることができます。また、他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートもしてくれるため、データ分析の8割とも言われる前処理コストを大きく削減できます。1クリックで色々な軸でデータを分析でき、複数軸のかけあわせもできます。(例)部署別×男女別の離職率散布図やヒートマップを使って複数の人事データの相関を調べることもできます。(例)残業時間と離職率の相関また、取り込んだ人事データを元に、人的資本開示の項目を自動集計してくれます。特に残業時間については残業時間の時系列での把握様々なセグメント(部署、役職、等級など)での分析他の人事データとの相関分析などのレポート、グラフが標準で用意されており、簡単に分析できます。Human&Humanについて詳しく知りたい方は、以下より資料請求・トライアル申込お願いいたします。