本記事では社内のコミュニケーション活性化や離職防止を目指す企業向けに、組織ネットワーク分析(Organization Network Analysis, ONA)について解説いたします。また、記事の最後では人事データ分析ツールHuman & Humanについてもご紹介しています。詳しく知りたい方は以下をご覧ください。機能導入事例資料請求サービス説明・デモ依頼組織ネットワーク分析とは組織ネットワーク分析の概要組織ネットワーク分析とは、社員間のコミュニケーションや情報の流れを可視化・分析する手法です。そもそもネットワーク分析とは人間社会や生物に存在する繋がり(ネットワーク)を分析する学問ですが、それを会社・組織などに応用したものが組織ネットワーク分析です。組織ネットワーク分析のメリットメリット説明情報・コミュニケーションの流れを可視化できる部署や職位に関係なく、実際に誰が情報ハブになっているか(影響力が大きい人物)を把握できる。サイロ化やボトルネックの発見部署間の連携が弱い箇所や、特定の個人に業務や情報が集中している箇所を特定できる。エンゲージメントや生産性向上への施策立案組織間の連携の質を高めるための組織設計・配置転換・リーダー育成など、データに基づいた改善が可能になる。組織ネットワーク分析が注目される背景組織ネットワーク分析が注目される背景には、ネットワーク型組織の浸透と深い関わりがあります。従来の会社組織は、部署や役職に基づいて縦のコミュニケーションをとる「階層型組織」「ピラミッド型組織」が主流でしたが、トップダウンによるスピードの遅さ、アイデアやイノベーションの生まれづらさ、社内のコミュニケーションのとりづらさなど様々なデメリットがありました。そこで、階層にとらわれず社員が自由にコミュニケーションをとりあう組織のあり方が提唱されるようになりました。これを「ネットワーク型組織」と呼びます。出典: 個人の自律性を重視したネットワーク型組織へ(前編) ビジネスアジリティが必須になる時代へ⑨一方で、ネットワーク型組織は「誰と誰がコミュニケーションをとっているのか分かりづらい」「組織図に見えないキーマンが存在する」などのデメリットも伴います。組織ネットワーク分析では、こうしたコミュニケーションやキーマンの可視化を行います。組織ネットワーク分析で用いるデータ組織ネットワークを可視化するためのデータは以下の通りです。データの種類内容例組織構造データ部門・チーム・役職ごとの所属情報、公式な上下関係や組織図データコミュニケーションデータメール・チャット・会議記録、社内SNSのやり取りなどの履歴(頻度・方向・相手)プロジェクトデータ共同作業や情報共有の履歴、タスク管理ツールやプロジェクト進行状況の記録エンゲージメントデータ心理的安全性・満足度・帰属意識など関係性の質を示すデータパフォーマンス・人事データ評価、勤続年数、異動履歴、離職など、ネットワーク構造との関連を分析する補足データ組織ネットワーク分析の用語組織ネットワーク分析ではグラフ理論と呼ばれる手法の用語がいくつか用いられます。その用語をいくつかご紹介いたします。ノード・エッジ組織ネットワーク分析では、社員一人ひとりを点(ノード)、社員同士の繋がりを線(エッジ)で表現し、誰と誰がコミュニケーションを行っているかを可視化します。出典: Communeの社内コミュニティのデータを使ってネットワーク分析の基礎を学ぶまた、コミュニケーションの頻度、方向性(誰から誰に話しかけているか)などを分析する場合、グラフに重みづけをしたり、方向性を矢印で表すこともできます。密度密度とは、ある社員が他の社員とどれだけ多くの繋がり(エッジ)を持つかを表します。例えば、ある社員が繋がることのできる社員が上司2名同僚3名プロジェクトメンバー5名だとすると、エッジの最大値は10です。ところが、日々コミュニケーションをとっているのが上司2名だけだとすると、密度は2/10=20%であり、この社員の社内での繋がりが薄く、孤立傾向にあると言えます。中心性中心性とは、社員が組織ネットワークの中心への近さを表します。多くの社員から話しかけられたり頻繁に連絡をとりあっている社員は中心性が高くなり、コミュニケーションのハブとなっていると言えます。出典: Rによるネットワーク分析をまとめました<ネットワークの指標編>媒介中心性媒介中心性とは2つの組織を媒介するような役割です。例えば、以下のような状況を考えます。社員Xが部署A、社員Yが部署Bに在籍しているXとYは繋がりを持っている2人を除いて、AとBの社員は繋がりが無いAとBは組織としての繋がりが薄く、両者を繋ぐのはXとYのみです。このとき、XとYは媒介中心性が高いと言えます。組織ネットワーク分析の活用例離職可能性の高い社員の把握離職可能性が高い社員は社内で孤立したりコミュニケーションが希薄になりやすく、中心性が低い、密度が低いなどの傾向が見られます。また、中心性や密度の低さが実際に離職に影響しているのかを調べるのも重要です。分析の手順社員の中心性や密度の推移を一定期間(半年〜1年など)で定点観測する中心性や密度の平均値・中央値を閾値として、それらが閾値よりも低い社員をピックアップする中心性や密度の低さが離職率、エンゲージメントスコアと相関関係があるかを調べる相関が大きい場合、「中心性や密度が低いと離職可能性が高い」と仮定できる離職可能性が高い社員へのフォローを行う社内のコミュニケーション活性化業務上の関わりが深いにも関わらずコミュニケーションが少ない組織同士が存在する場合、社内での連携が上手くとれていない恐れがあります。そういった組織では社員同士のエッジが少ない、特定社員の媒介中心性が高いなどの傾向が見られます。また、コミュニケーションの少なさが実際に業務に影響しているのかを調べるのも重要です。分析の手順業務上の関わりが深い組織の組み合わせ(同じ事業部の営業チームと開発チームなど)をピックアップするエッジ数や媒介中心性の平均値・中央値を閾値として、閾値から大きく外れた組織同士をピックアップするエッジ数の少なさが労働生産性や業績と相関関係があるかを調べる相関が大きい場合、「コミュニケーションの少なさが業務効率や業績に影響している」と仮定できるコミュニケーションが少ない組織へのフォローを行う組織ネットワーク分析のツール組織ネットワーク分析を行う方法は大きく3つあります。ネットワーク用の分析ツールネットワーク分析やグラフ理論のためのツールは有名なものだとGephi、UCINETなどです。ネットワーク分析に特化しているのでノードやエッジの設定・操作が簡単な点、指標(中心性や密度など)の計算がしやすい点などはメリットです。ただし、会社や組織のネットワーク分析に特化したツールは少ないので、使いづらい部分もある組織ネットワーク以外の分析は行えないので、別ツールが必要料金や運用コストが増える点などはデメリットです。BIツールデータの統合・集計などに特化したツールです。BIツールには「汎用型」「人事特化型」がありますが、組織ネットワーク分析を行うためには人事特化型のBIツールをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。組織ネットワーク以外の分析も行えるBIツールを既に導入している企業なら料金や運用コストを抑えられる点などはメリットです。ただし、ネットワーク分析用のツールではないので、ノードやエッジ、中心性などの設計が必要な点はデメリットです。ExcelExcelであれば多くの人事の方が使えるので追加料金がかからない点、学習コストが低い点はメリットです。ただし、Excelでの運用を長く続けるとExcelが複雑化し(膨大な関数やタブ・データの繋ぎこみなど)、「Excelを扱える人事が少ない」「Excelでの集計に時間がかかる」などの課題が発生しやすい点はデメリットです。※Excelを使った人事データについては別の解説記事をご覧ください。組織ネットワーク分析のよくある課題組織ネットワーク分析では前述のツールの問題とは別に、様々な課題が存在します。データが分散している組織ネットワーク分析ではメール・チャット・会議記録などのコミュニケーションデータを元に分析を行いますが、こうしたデータは別々のツールで管理されています(メールはOutlook、チャットと会議記録はTeamsなど)。それぞれのデータをAPIやツールを使って統合できるかを確認しておきましょう。社員のプライバシー保護が難しい社員同士のやりとりを分析に使うことは社員から抵抗感が出やすい他、給与や病気などセンシティブな情報に触れる恐れがあります。分析目的や利用範囲を事前に社内周知しておく個人の特定が不要な分析においてはデータを匿名化し、プライバシーを保護するなどを意識しましょう。※人事データのプライバシー保護については解説記事をご覧ください。オフラインのやりとりを分析できない組織ネットワーク分析では対面、ランチなどのオフラインのコミュニケーションを分析できないため、社内のコミュニケーションの状況を全て把握することはできません。組織ネットワーク分析とは別にサーベイや対面のヒアリングを行うことで、ネットワーク分析の結果と乖離が無いか照合しましょう。Human & HumanBIツールを使う場合、クラウドワークスで開発しているHuman & Humanがおすすめです。Human & Humanの特徴は以下の通りです。設計コスト人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されている。データの集計コスト他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートも用意。権限管理部署・職種・役職に合わせて各データの閲覧・編集権限を管理できる。学習コスト1クリックでデータのかけあわせができるので、データ分析に詳しくない人事でも簡単に操作可能相関分析散布図やヒートマップを使って簡単に分析できる。(例)データを時系列で分析できる他、指標をかけあわせた分析も1クリックで可能(例)ヒートマップで相関の強い指標を一目で把握できるHuman & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下よりお問い合わせお願いいたします。おすすめの記事人事データ分析について知りたい方は、タグ:人事データ分析のポイントをご覧ください。人事に関するシステムやツールについて知りたい方は、タグ:人事システム・ツールをご覧ください。