本記事では新入社員の定着を図りたい企業向けに、活躍できていない新入社員の分析のポイントを解説いたします。また、記事の最後では人事データ分析ツールHuman & Humanについてもご紹介しています。詳しく知りたい方は以下をご覧ください。機能導入事例資料請求サービス説明・デモ依頼新入社員の活躍分析とは新入社員の活躍分析の概要新入社員の活躍分析とは、新入社員が配属後の現場で活躍できているかを調べることです。これにより、以下のようなメリットがあります。活躍できていない新入社員へのフォローを行う新入社員の受け入れが上手く機能していない事業部へのテコ入れを行う最近では新入社員の受け入れのためにオンボーディングに力を入れる企業も増えていますが、事業部側でオンボーディングが十分にできていないことで新入社員が活躍できないこともあります。そういった社員を把握してフォローしたり、オンボーディングが不十分な事業へのテコ入れを行うことが重要です。活躍分析の対象活躍分析では「個人に対する分析」「組織に対する分析」の2種類があります。前者は活躍できていない社員を把握する方法であり、後者は活躍できていない社員の配属組織を把握する方法です。どちらも活躍できていないものを特定してフォローや人事施策を行うのは同じですが、それぞれにメリット・デメリットがあるため、上手く使い分けましょう。個人に対する分析組織に対する分析分析対象特定の社員特定のセグメント(部門・事業部など)フォロー例社員への個別対応(社員との面談、メンタルケア、人事異動など)・管理職や事業責任者への個別対応(研修、面談など)・セグメント全体に対する対応(研修、チームビルディングなど)メリット・社員にパーソナライズした対応ができる・効果が出るのが早い・個別対応よりも工数が少ない・会社や組織全体へのインパクトは大きいデメリット・社員数が増えるほど工数が増える・会社や組織全体へのインパクトは小さい・社員一人ひとりにパーソナライズした対応は難しい・効果が出るのに時間がかかる活躍分析のタイミング新入社員の活躍分析は入社後早めに行うことが重要です。新入社員の1割が1年以内に退職するという調査があるように、分析までに時間を空けすぎるとその間に新入社員が退職する恐れがあるからです。一方で、分析があまりに早すぎると(入社から1週間後など)まだ研修中で業務を開始しておらず、活躍しているかどうか調べられないこともあります。入社からいくつかタイムスパン(2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後など)を設けて定点観測すると良いでしょう。新入社員の活躍分析のステップ①新入社員の活躍の定義最初に何をもって「新入社員が活躍できている」とみなすか、パフォーマンスの定義を決める必要があります。定義にはいくつかの方法があります。活躍の定義具体例定量数値・営業部で、新規案件を3件/月受注できている・マーケティング部で労働生産性が100万円/月以上目標の達成度・営業部で、予算目標を120%達成している・人事部で、OKRの個人目標を全て達成している周囲の評価・360度評価で「主体性」の評価が3以下(5点満点)定量数値の設定が難しい職種では目標の達成度、周囲の評価を基準にしても良いでしょう。重要なのは、何らかの数値で「活躍」を評価することです。数値が無いと、「がんばっていない、努力していない」などと主観的・感覚的な評価に頼りがちです。②新入社員のパフォーマンス分析活躍の定義が決まったら、新入社員のパフォーマンスを分析します。このとき、活躍度合いの推移や入社期間なども確認して、総合的に「活躍できているかどうか」を判断しましょう。例えば入社1ヶ月目でパフォーマンスが低い社員はまだ業務に慣れていないだけの可能性がありますし、入社2週間→1ヶ月目→2ヶ月目で徐々にパフォーマンスが上がっている社員であれば今後は活躍の見込みがあります。一方、入社3〜6ヶ月目でまだパフォーマンスが低かったり横ばいの社員は今後も活躍できない傾向が続く可能性があり、フォローが必要です。③活躍できていない新入社員のセグメントを調べる活躍できていない新入社員が特定のセグメント(部門・職種など)に集中している場合、受け入れ側の組織に問題がある可能性があります。例えば、活躍できていない新入社員が営業部に集中している場合、「営業部の受け入れ体制に問題がある」という仮説が立てられますし、活躍できていない社員にエンジニアが多い場合、「エンジニアのマネジメント体制に問題がある」「社内のエンジニアへの理解度が低い」などの仮説が立てられます。④他の人事データとの相関を調べる上で定義した「活躍」の定義と他の人事データの相関分析を行います。例えば活躍=労働生産性/月が100万円以上 と定義した場合、労働生産性と他の人事データ(残業時間、等級滞留年数など)を紐付け、どれが強く相関するかを調べます。これにより、なぜ新入社員が「活躍」できていないかの仮説が立てやすくなります。分析後のアクション原因に対する仮説を立てる上の分析プロセスを元に、新入社員がなぜ活躍できていないかの仮説を立てます。データだけを見ても仮説が立てづらい場合、360度評価・サーベイの回答内容などの定性情報を調べたり社員にヒアリングするのも有効です。アクションプランを考える仮説を踏まえて、それを解決するためのアクションを考えます。例えば、以下のようなアクションが考えられます。社員が活躍できていない原因の仮説アクション非効率的な業務環境・業務効率化のツール導入・業務フローや業務内容の見直し職場の人間関係の不仲・チームビルディング研修・1on1の導入・人員配置の変更社員のメンタルヘルス不調・産業医との面談・1on1の導入人員の不足・人員の異動・人員の新規採用ただし、人事制度や組織の変更などを伴う大規模なアクションになるほど効果が出るまでに時間がかかります。アクションが現実的に実行可能か、解決までのスピードが見合っているかなども踏まえて検討しましょう。新入社員のパフォーマンスと人事データの変化を時系列で見るアクションを実施した後、新入社員のパフォーマンスや相関の強いデータの変化を定点観測します。アクションから数値に反映されるまでタイムラグがあることが多いので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、原因の仮説やアクションを見直しましょう。新入社員の活躍分析の課題データの前処理が大変新入社員のパフォーマンスと人事データの相関を調べるためには様々なデータが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(社員情報はタレントマネジメントシステム、残業時間は勤怠管理システム、有給取得率はワークフローシステムなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。多くの指標の相関分析が大変相関分析を行う流れは以下の通りです。「ある指標とパフォーマンスの相関が強い」と仮説を立てるその指標とパフォーマンスの相関係数を調べる相関が強い指標が見つかるまで1〜2を繰り返すパフォーマンスと相関の強い指標がなかなか見つからない場合、相関分析を何度も行う必要があり大変です。上記を踏まえて、新入社員の活躍分析ではExcelを脱却し、分析ツールを導入することをおすすめします。分析ツールを早めに導入すべき理由新入社員の活躍分析に限らず、人事や組織開発の業務は「重要度は高いが緊急度が低い」ものが多いため、課題を感じながらもExcel運用を続けている企業が多いのですが、なるべく早めの導入をおすすめします。その理由は以下の通りです。組織の機会損失の防止Excel運用を長く続けるとExcelが複雑化し(膨大な関数やタブ・データの繋ぎこみなど)、「Excelを扱える人事が少ない」「Excelでの集計に時間がかかる」などの課題が発生します。人事の多くの時間がExcelに割かれてしまい、組織の活性化やパフォーマンス向上などに時間を割けなくなってしまいます。組織の機会損失を防ぐためには、今問題になっていないとしても、早めにExcelを脱却してツールを導入することが重要です。他社に対する競争力拡大以前はLINEヤフーなどのITベンチャー企業を中心に分析ツール活用が進んでいましたが、最近では様々な業界の大手企業でも活用が進んでいます。企業名業種パナソニック製造日本たばこ産業たばこmixiITキリンホールディングス食品大成建設建設ハウスメイト不動産※出典記事は企業名のリンク先を参照同業他社が既に分析ツールを導入している場合は他社に乗り遅れないように、まだの場合は他社に差をつけるべく、早めに分析ツールを導入しましょう。分析ツールの違いBIツールとタレントマネジメントシステムの違い人事データの分析ツールとして有名なのはBIツールとタレントマネジメントシステムですが、両者には以下のような違いがあります。メリットデメリットBIツール色々な分析に対応できる人事業務を行うことができないタレントマネジメントシステム1つのツール上で分析から人事業務まで完結できる分析機能に制約が多いそれぞれメリット、デメリットがありますが、分析をメインで行いたい場合はBIツールをおすすめします。※BIツール、タレントマネジメントシステムの解説記事もご覧ください。BIツールの比較汎用型と人事特化型BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、残業時間の分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。Human & Humanの特徴は以下の通りです。設計コスト人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されている。データの前処理コスト他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートも用意。権限管理部署・職種・役職に合わせて各データの閲覧・編集権限を管理できる。学習コスト1クリックでデータのかけあわせができるので、データ分析に詳しくない人事でも簡単に操作可能相関分析散布図やヒートマップを使って簡単に分析できる。Human & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下よりお問い合わせお願いいたします。おすすめの記事人事データ分析について知りたい方は、タグ:人事データ分析のポイントをご覧ください。人事に関するシステムやツールについて知りたい方は、タグ:人事システム・ツールをご覧ください。