自社で活躍している社員、高い成果をあげている社員(ハイパフォーマー)の分析は離職防止、人員配置、採用など色々なシーンで有効です。本記事ではハイパフォーマーの定義や分析のポイントについて解説します。※人事データ活用の基本を知りたい方は人事データ活用にありがちな悩みを解決! 人事データの種類や分析のポイントも合わせてご覧ください。目次ハイパフォーマー分析のメリットハイパフォーマーの特徴や共通点を分析するメリットは以下の通りです。他の社員の育成ハイパフォーマーが持つ強みや特徴を他の社員にも身につけてもらうために研修や育成を行います。採用活動ハイパフォーマーが持つ特徴を元に人材要件の定義や候補者の見極めを行います。人員配置コアプロジェクトや新規事業などの重要ポジションにハイパフォーマーを配置します。離職防止ハイパフォーマー社員に対して個別のフォローを行うことで離職を防ぎます。ハイパフォーマー分析によくある悩みハイパフォーマー分析を行うときの悩みは以下の2つに大別されるかと思います。①ハイパフォーマーの定義何を基準にハイパフォーマーと定義するかが難しい②ハイパフォーマーの育成どうすればハイパフォーマーを育成できるのか分からないこの記事では1を中心に解説します。ハイパフォーマーの定義ハイパフォーマーとは「社内で高いパフォーマンスをあげている社員」のことですが、何をもって「高いパフォーマンス」とみなすかは色々な定義があります。例えば...・業務効率が高い人 例:労働生産性が高い、残業時間が短い、目標達成率が高い・スキルが高い人 例:営業経験が何年以上、資格を保有している・優れた思考特性を持つ人 例:主体性・成長志向、ロジカルかつクリティカルな思考ハイパフォーマー分析を通じて何をしたいかによって定義を決めることをおすすめします。目的ハイパフォーマーの定義労働生産性を向上させたい業務効率が高い人営業特化のスペシャリスト組織にしたい営業スキルが高い人選考で優秀な人材を見極めたい優れた行動特性を持つ人なお、該当社員をピックアップできるように、ハイパフォーマーの定量的な基準や抽出条件も決めておきましょう。例えば...・業務効率が高い 例:労働生産性/月が100万円以上・営業スキルが高い 例:営業経験が5年以上、かつ目標達成率/月が半年連続で100%以上・主体性が高い 例:360度評価で「主体性」の評価が4.5以上(5点満点)一般的にハイパフォーマーとは組織の上位2割と言われるので、社員の2割前後をハイパフォーマーとして抽出できるのが理想です。もし抽出した社員が多すぎる(少なすぎる)場合、ハイパフォーマーの条件が甘すぎる(厳しすぎる)か適切な条件になっていない恐れがあるので、条件を見直しましょう。労働生産性の定義については人事データを活用した労働生産性の向上のポイントもご覧ください。ハイパフォーマー分析のポイント他の人事データとの相関を調べる上で定義したハイパフォーマーの基準と他の人事データの相関分析を行います。例えばハイパフォーマー=労働生産性/月が100万円以上 と定義した場合、労働生産性と他の人事データ(残業時間、等級滞留年数など)を紐付け、どれが強く相関するかを調べます。また、ハイパフォーマー=「主体性」の評価が4.5以上 と定義した場合は、「主体性」の評価と相関の強い指標を調べます。ハイパフォーマーと人事データとの相関仮説労働生産性が高い社員ほど残業時間が短く、有給取得率が高いメリハリを付けて効率的に働いている主体性が高い社員ほどエンゲージメントスコアが高い業務に対する内発的動機付けやモチベーションが高いハイパフォーマーとそれ以外の社員の違いを調べるハイパフォーマーの特徴を詳しく分析するため、それ以外の社員との違いを調べるのも有効です。上で調べた人事データについて、他の社員がどのような傾向があるか調べましょう。(例)・ハイパフォーマーは月の平均残業時間が15時間だが、他の社員は35時間・ハイパフォーマーは平均エンゲージメントスコアが4.5だが、他の社員は3分析後のアクションハイパフォーマンスの原因に対する仮説を立てる上の分析プロセスを元に、なぜパフォーマンスが高いかの仮説を立てます。データだけを見ても仮説が立てづらい場合、サーベイの回答内容などの定性情報を調べたり社員にヒアリングするのも有効です。アクションプランを考える仮説を踏まえて、ハイパフォーマー社員を増やすためのアクションを考えます。例えば、以下のようなアクションが考えられます。(例)ハイパフォーマーの原因の仮説アクション効率的な働き方・業務効率化のツール導入・業務フローや業務内容の見直しキャリアプランを持っている・キャリア研修・副業の奨励・ジョブローテーションの導入自分の得意分野と業務のマッチ・スキル研修・人員配置の変更給与が高い・給与制度の見直し・ストックオプションの発行ただし、人事制度や組織の変更などを伴う大規模なアクションになるほど効果が出るまでに時間がかかります。アクションが現実的に実行可能か、解決までのスピードが見合っているかなども踏まえて検討しましょう。パフォーマンスと人事データの変化を時系列で見るアクションを実施した後、ハイパフォーマー以外の社員のパフォーマンスや相関の強いデータの変化を定点観測します。アクションから数値に反映されるまでタイムラグがあることが多いので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、原因の仮説やアクションを見直しましょう。分析例ハイパフォーマー=「主体性」の評価が4.5以上 と定義するハイパフォーマーと人事データとの相関分析を行った結果、以下の結果を確認できた主体性の高さと「キャリア形成」のエンゲージメントスコアの相関が強い上記の結果から、以下の仮説を立てたキャリアプランを持って仕事に取り組む社員ほどパフォーマンスが高い以下のアクションプランを立てて実行した・キャリア研修の実施・スコアが低い社員の異動他社員のパフォーマンスの変化を定期的(3ヶ月後、6ヶ月後など)に調べるハイパフォーマー分析の課題データの前処理が大変人事データの相関を調べるためには様々なデータが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(社員情報はタレントマネジメントシステム、残業時間は勤怠管理システム、エンゲージメントはサーベイツールなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい社員の労働生産性と残業時間の相関を見たい→次に主体性の高さとエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。BIツールの比較汎用型と人事特化型上記を踏まえて、ハイパフォーマーを分析する際にはBIツールを導入することがおすすめです。BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、ハイパフォーマー分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されているため、設計コストやデータのコストを小さく抑えることができます。また、他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートもしてくれるため、データ分析の8割とも言われる前処理コストを大きく削減できます。1クリックで色々な軸でデータを分析でき、複数軸のかけあわせもできます。(例)部署別×男女別の離職率散布図やヒートマップを使って複数の人事データの相関を調べることもできます。(例)残業時間と離職率の相関また、取り込んだ人事データを元に、人的資本開示の項目を自動集計してくれます。Human & Humanについて詳しく知りたい方は、以下より資料請求・トライアル申込お願いいたします。