働き方や健康経営の浸透に伴い、「社員の健康を増進したい」「社員の体調不良を早期発見したい」という悩みが増えています。本記事では社員の健康管理(ヘルスケア)のポイントについて解説します。※人事データ活用の基本を知りたい方は人事データ活用にありがちな悩みを解決! 人事データの種類や分析のポイントも合わせてご覧ください。社員の健康管理の意義企業で社員の健康管理が重視されるようになった理由はいくつかあります。働き方改革や健康経営の推進により、企業が社員の健康を管理して生産性を高めることが重視されている社員の健康増進により、社員の定着率の増加、離職率の低下などに繋がる社員の健康増進により企業の利益率向上に繋がる社員が病気になり保険を使用する頻度が減るため、企業の医療費・保険料の負担も減る社員の健康管理によくある悩み体調不良、またはそうなりそうな社員が自己申告してくれるのが理想ですが、実際には体調不良を隠して働き続けたり、自己申告されたときには手遅れ(休職・離職寸前)ということもよくあります。そこで、自己申告に頼りすぎないよう、人事データを使って体調不良の社員を検知することが重要です。この記事ではそのための分析ポイントを解説します。社員の健康状態の分析ポイント社員の健康状態をデータで把握するための簡単な方法は、健康診断やストレスチェックを受診してもらうことです。以下ではそれらで取得したデータ(以下「ストレス値」)を元に解説します。セグメントごとの高ストレス社員の割合を調べる「高ストレス=合計ストレス値が100点満点で80点以上」(※)などと定義を決めて、各セグメントにどれぐらい該当者がいるか調べます。セグメントとしては社員の基本情報(性別、部署、役職、等級、職種、入社年度など)が有効です。(※)健康診断やストレスチェックツールによって「100点満点」「5段階評価」など診断基準が異なるので、それに合わせて定義を決めます。ストレス値と他の人事データの相関を調べる高ストレス社員の多いセグメントを発見したら、ストレス値と人事データを紐付けて分析します。これにより、高ストレスがどの指標に影響しているのか把握し、仮説を立てることができます。ストレス値と人事データとの相関仮説ストレス値が高い社員ほど残業時間が長い残業過多で疲弊しているストレス値が高い社員ほど入社年数が短い新入社員が会社に馴染めていないストレス値が高い社員ほどエンゲージメントスコアが低い仕事のやりがいやミッションへの共感が低い※相関分析では指標同士の相関係数を調べます。詳しくは人事データ活用でよく使われる分析手法をご覧ください。人事データの推移を調べるストレス値の原因を調べるためにはその推移(いつから高くなっているのか)を調べるのが有効ですが、企業のストレスチェックは年に1回だけ行うことが多く、正確な推移を把握するのが困難です。そこで、ストレス値と相関の強い人事データを把握したら、そのデータの推移を確認します。これにより、ストレス値が高くなっている時期を間接的に把握できます。(例)ストレス値と残業時間の相関が強く、残業時間が1年前から増えている→ストレス値も1年前から高くなっている可能性がある分析後のアクション原因に対する仮説を立てる上の分析プロセスを元に、なぜストレス値が高いかの仮説を立てます。データだけを見ても仮説が立てづらい場合、サーベイの回答内容などの定性情報を調べたり社員にヒアリングするのも有効です。アクションプランを考える仮説を踏まえて、それを解決するためのアクションを考えます。例えば、以下のようなアクションが考えられます。残業時間が長い原因の仮説アクション非効率的な業務環境・業務効率化のツール導入・業務フローや業務内容の見直し職場の人間関係の不仲・チームビルディング研修・1on1の導入・人員配置の変更社員のメンタルヘルス不調・産業医との面談・1on1の導入ただし、人事制度や組織の変更などを伴う大規模なアクションになるほど効果が出るまでに時間がかかります。アクションが現実的に実行可能か、解決までのスピードが見合っているかなども踏まえて検討しましょう。ストレス値と人事データの変化を時系列で見るアクションを実施した後、ストレス値や相関の強いデータの変化を定点観測します。アクションから数値に反映されるまでタイムラグがあることが多いので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、原因の仮説やアクションを見直しましょう。分析例ストレス値をセグメントごとに調べた結果、以下の結果を確認できた→営業部の社員のストレス値が高い上のセグメントについて人事データとの相関分析を行った結果、以下の結果を確認できた・ストレス値と残業時間の相関が強い・ストレス値と労働生産性の逆相関が強い上記の結果から、以下の仮説を立てた→非効率的な働き方や残業過多によりストレス値が高くなっている以下のアクションプランを立てて実行した・業務効率化のツール導入・他部門からの人員異動・残業削減のための制度設定(ノー残業デーなど)ストレス値の変化を定期的(3ヶ月後、6ヶ月後など)に調べる社員の健康状態の分析課題データの前処理が大変ストレス値と人事データの相関を調べるためには様々なデータが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(社員情報はタレントマネジメントシステム、残業時間は勤怠管理システム、エンゲージメントはサーベイツールなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。多くの指標の相関分析が大変相関分析を行う流れは以下の通りです。「ある指標とストレス値の相関が強い」と仮説を立てるその指標とストレス値の相関係数を調べる相関が強い指標が見つかるまで1〜2を繰り返すストレス値と相関の強い指標がなかなか見つからない場合、相関分析を何度も行う必要があり大変です。BIツールの比較汎用型と人事特化型上記を踏まえて、社員の健康状態を分析する際にはBIツールを導入することがおすすめです。BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、健康状態の分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されているため、設計コストやデータのコストを小さく抑えることができます。また、他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートもしてくれるため、データ分析の8割とも言われる前処理コストを大きく削減できます。1クリックで色々な軸でデータを分析でき、複数軸のかけあわせもできます。(例)部署別×男女別の離職率散布図やヒートマップを使って複数の人事データの相関を調べることもできます。(例)残業時間と離職率の相関また、取り込んだ人事データを元に、人的資本開示の項目を自動集計してくれます。相関ヒートマップという機能を使えば人事指標の相関係数を一覧で確認できるので、ストレス値と相関の強い指標を簡単に発見できます。Human & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下より資料請求お願いいたします。製品を実際に触りたい方はトライアルにお申し込みください。おすすめのデータ分析記事社員の健康状態以外の人事データを分析したい方は、以下の記事もご覧ください。離職率労働生産性残業時間エンゲージメントスコアハイパフォーマー