本記事では勤怠管理のシステム化を検討している企業向けに、勤怠管理システムの概要やよくある課題を解説いたします。※残業時間の分析については、残業分析の解説記事をご覧ください。勤怠管理とは勤怠管理の概要勤怠管理は労務管理の一部であり、従業員の勤務や労働状況を管理する業務です。業務概要詳細出退勤の記録管理・従業員の出勤・退勤時刻の打刻管理・打刻漏れ・誤打刻の修正依頼処理勤怠データの集計日次・月次での労働時間、残業時間、休暇取得状況の集計残業・休暇申請の承認残業・休日出勤・有給休暇・特別休暇などの申請受付と承認フローの管理労働時間の法令遵守・36協定や労働基準法に基づく上限管理・違反アラートの確認・対応シフト・勤務形態管理・シフト制やフレックス勤務など各勤務形態に応じた管理設定給与計算との連携勤怠データをもとにした給与ソフトとの連携、インポート・エクスポート処理不正防止・モニタリング・過剰な残業・長時間労働・打刻不備のチェック・部署や個人単位での傾向分析勤怠ルールの設定・更新・就業規則に基づく勤怠ルール(休憩時間、自動休暇付与など)の設定・見直し従業員からの問い合わせ対応勤怠に関する質問、修正依頼、トラブル対応などデータの保管・出力・勤怠履歴の保存(法定期間以上)・監査や社内報告用の出力データの作成※人事労務については、人事労務システムの解説記事をご覧ください。勤怠管理が注目される背景勤怠管理は古くから存在する概念ですが、昨今の日本で注目されるようになった背景はいくつかあります。少子高齢化や労働人口不足、働き方改革により、効率的な働き方で高い成果を出すことが求められるようになった人的資本経営の浸透により、人事データを活用した人材価値や企業価値の向上が加速しているテレワークの浸透によりデータで人事や組織を把握する必要性が生じた人事データを活用できる様々なツールが登場した勤怠管理システムとは勤怠管理システムの機能とメリット機能メリット出退勤の打刻(ICカード・アプリ等)不正打刻の防止、正確な出勤・退勤記録が可能勤怠データの自動集計手作業ミスの削減、集計業務の効率化残業・有給・休暇の申請・承認機能申請・承認プロセスの迅速化、記録の一元管理シフト管理複数拠点・複雑なシフトの効率的な作成・管理法定労働時間・休憩時間の管理労働基準法違反のリスク軽減、コンプライアンス強化給与計算ソフトとの連携機能給与計算の自動化・効率化、データの整合性向上打刻漏れ・異常値のアラート通知担当者の早期対応が可能、管理工数の削減モバイル対応外出先・テレワーク中でも打刻や申請が可能勤怠レポート・分析機能勤怠傾向の可視化、労務改善や経営判断の材料に活用可能多言語・多通貨対応(海外拠点向け)グローバル展開企業でも一元的な勤怠管理が可能勤怠管理システムの種類一体型勤怠管理に付随した他の機能(人事労務や経費精算やなど)も搭載したシステムです。メリットは勤怠管理以外の業務も1つのツールで完結できる点、それ以外の人事データも一元管理しやすい点ですが、特化型に比べて高価になりやすいといったデメリットもあります。また、勤怠管理に特化したシステムではない分、特化型に比べて機能やできることに制約があることも多いです。特化型勤怠管理のために開発されたシステムです。メリットは一体型に比べて安価な点、勤怠管理の機能が豊富な点ですが、勤怠管理以外の業務はカバーできないので別システムが必要になる点、それ以外の人事データは別システムで管理されるのでそれらと組みあわせた分析が難しい点はデメリットです。一体型、特化型の特徴をまとめると以下の通りです。特徴一体型特化型価格高い安い勤怠管理の機能弱い強い勤怠管理以外の業務対応可対応不可人事データの一元管理易しい難しい勤怠管理システムの料金体系具体的な金額は会社によって異なるので、ここでは一般的な勤怠管理システムの料金体系を説明いたします。初期費用システムの導入時のみ発生する費用です。主にアカウントの開設、カスタマーサクセスなどのコストを回収するためのものですが、金額としては小さいため、初期費用を無料にしている会社もあります。ランニングコスト支払いサイクルは月次、半年、年次など会社によって異なりますが、月次が一般的です。初期費用に比べて解約まで継続的に発生するので、企業が金額を比較する際はランニングコストを重視する必要があります。ランニングコストは主に従量課金制ですが、ユーザー数に応じて料金が増えることが多いです(1名あたり300円など)。勤怠管理システムは全社での導入が多いので、従業員数が増えるほどランニングコストも高くなります。コストを抑えるためには単価が安いことがベストですが、単価が安いほど機能も少なくなりやすいことに要注意です。勤怠管理システムを導入するには実現したい内容出退勤時間を打刻するだけならそれほど難しくないのですが、「残業や有給取得をワークフロー化する」「経費精算を行う」など勤怠に紐付く業務まで含めると、勤怠管理で実現できることは多岐に渡ります。具体的に何を実現したいかを整理しましょう。コスト前述の通り勤怠管理システムの多くは従量課金制ですが、単価は会社によって大きく異なります。安いに越したことはありませんが、安くて機能が少ないシステムを選んだ結果、要件を実現できなくなるのは本末転倒です。システムを利用するユーザー数や機能を想定してコストをシミュレーションし、要件と比べて金額が見合うかを検討しましょう。操作性機能が豊富でもUIが分かりづらかったり、動作が重くて使いづらいことがあります。多くの人事労務システムではトライアルを提供しているので、トライアルで操作性を確認しておきましょう。カスタマーサポート多くの勤怠管理システムでは導入後にカスタマーサポートへの問い合わせなどができますが、それ以外のサポートを用意していることもあります。どのようなサポートがあるかは確認しておきましょう。(例)カスタマーサクセス担当者が付き、運用が立ち上がるまで伴走してくれるFAQやユーザーコミュニティが用意されており、疑問点を解消しやすい勤怠管理システム導入時の注意点どのシステムを導入する際でも共通して注意すべき点を解説いたします。人事システムや人事データへの影響の整理別の人事システムを運用しているところに勤怠管理システムを導入すると、人事データが分散したり運用が混乱する恐れがあります。よって、導入による人事システムや人事データへの影響を理解しておく必要があります。導入前導入後各業務がどの人事システムで動いているかどの業務が勤怠管理システムに置き換わるか各人事データがどの人事システムで管理されているかどの人事データが勤怠管理システムで管理されるかシステム間がどのように連携しているか勤怠管理システムと既存システムがどのように連携するか勤怠管理システムの導入ステップ要件を整理する実現したいこと、コスト、他システムとの連携など求める要件を整理します。勤怠管理システムを比較する要件を元にシステムをいくつか選定&トライアルし、どれにするかを検討します。勤怠管理システムを構築する導入するシステムが決定したら、ツールの契約手続きや設定作業既存の人事システムからのデータ移行他システムとのAPI連携などの開発を開始します。ツール周りの作業は運営会社が支援してくれますが、人事システムとの連携などは自社で対応することが多く、情報システム部やIT部門と連携して開発を進めます。構築が完了したら受け入れテストを行い、人事業務やデータ分析が問題無く行えるかを確認します。リリーステストが完了したら勤怠管理システムをリリースし、本番運用を開始します。勤怠管理システムによくある課題労働時間を色々な切り口で分析できない勤怠管理システムに搭載されている分析機能には色々な制約も存在します。例えば、「残業時間の変化を時系列で確認する」「部署ごとの労働時間を調べる」など基本的な分析は可能ですが、「離職者に絞って労働時間を見る」「等級や役職・年代ごとに労働時間を見る」など、軸や切り口を変えて分析するのは困難です。労働時間以外の人事データとかけあわせた分析が難しい特化型では労働時間以外の人事データを管理できないため、労働時間とそれ以外の人事データをかけあわせた分析はできません。もしそれをやりたい場合(例えば残業時間と離職率の相関を分析したい)場合、双方のシステムからデータをダウンロードするExcel上でデータを突合するデータを分析するという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。一体型であれば他の人事データも一元管理されていますが、前述の通り分析機能があまり強くないので相関分析などができず、結局Excelで分析をすることが多くなります。人事特化のBIツールの紹介こうした事情から、人事データの分析を行いたい場合はBIツールを活用するシーンが増えています。Excelでの課題BIツールのメリット分析内容に応じてグラフやレポートを作り変えるのが大変(例)散布図、ヒートマップ、ヒストグラム、箱ひげ図分析でよく使うグラフを簡単に作成できるクラスター分析など高度な分析になるほどExcelで行うのが大変色々な分析機能が用意されている(例)時系列分析、相関分析、クラスター分析、回帰分析関数やマクロを作り込むほど属人化が進むレポートやダッシュボードがあれば誰でも分析ができる勤怠管理システムの課題BIツールのメリットデータの前処理が大変API連携などによりデータの前処理が簡単高度な分析に対応できない(例)相関分析、クラスター分析、回帰分析色々な分析機能が用意されている※BIツールについて詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。BIツールを使う場合、クラウドワークスで開発しているHuman & Humanがおすすめです。Human & Humanの特徴は以下の通りです。設計コスト人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されている。データの集計コスト他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートも用意。権限管理部署・職種・役職に合わせて各データの閲覧・編集権限を管理できる。学習コスト1クリックでデータのかけあわせができるので、データ分析に詳しくない人事でも簡単に操作可能相関分析散布図やヒートマップを使って簡単に分析できる。(例)データを時系列で分析できる他、指標をかけあわせた分析も1クリックで可能(例)ヒートマップで相関の強い指標を一目で把握できるHuman & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下よりお問い合わせお願いいたします。おまけ:残業削減チェックシート弊社で「残業削減の理想像」を4カテゴリに分類しました。シートでは1カテゴリごとに5問、合計20個のチェック項目を用意しています。全項目に回答すると、カテゴリごとに現在の残業削減の課題や改善点をアドバイスしてくれます。チェックシートをダウンロードする