多くの企業が人材育成のために研修を実施していますが、そこには内容策定や効果測定などさまざまな課題があります。本記事では人事データを活用した研修のポイントについて解説します。※人事データ活用の基本を知りたい方は人事データ活用にありがちな悩みを解決! 人事データの種類や分析のポイントも合わせてご覧ください。人材研修によくある悩み研修策定が大変一口に研修と言っても「階層別研修」「スキル別研修」「テーマ別研修」など様々なものがあります。また、研修の目的もオンボーディング、スキルアップ、チームビルディングと様々です。本来は自社にどのような研修が必要なのか分析した上で研修を策定すべきですが、実際にはそこまで分析できておらず、最低限の研修しか実施できていないことが多いかと思います。受講者の選定が大変研修の中には全社員が受講するもの(コンプライアンス研修など)、受講者が決まっているもの(新入社員研修など)もありますが、そうでないものは受講者を選定する必要があります。研修は社員の時間を使う以上、費用対効果を高めるためにも「研修の目的やターゲット設定」「ターゲットに合致する社員のピックアップ」は重要です。(例)営業初心者がターゲット→営業経験3年以内の営業部社員をピックアップ研修の数だけ上記の作業を行うので、研修の数が増えるほど選定が大変になります。研修の効果を測定しづらい研修後のアンケートでは「役に立った」という回答が多くても、実際に業務効率化や成果に繋がっているのかは分かりません。本来は研修受講後のパフォーマンスなどを調べて研修の効果を測定すべきなのですが、そこまで実施できておらず、「研修して終わり」になりやすいのではないでしょうか。研修のためのデータ分析のステップ①改善したいデータを決める研修には「社員のスキルを上げたい」「社内の士気を高めたい」など様々な目的がありますが、目的の達成を確認するにはそれが定量的に測定できるものであることが望ましいです。研修を通じて会社・組織のどのデータを改善したいのかを決めましょう。(例)離職率、エンゲージメントスコア、労働生産性、等級滞留年数②データを調査する①で決めたデータを色々な切り口で調査します。具体的には以下のような方法があります。セグメントごとに集計する(例)男女別、部署別、階層別、入社年度別時系列で推移を確認する(例)2年前→1年前→現在の推移ここで「営業部の入社3年目以内の社員の離職率が高い」「20代の女性社員のエンゲージメントスコアが1年前から下がっている」などの傾向が把握できれば、そこに対して研修を行うと改善のインパクトが大きいと考えられます。③原因に対する仮説を立てる②で傾向を把握できたとして、「なぜ離職率が高いのか?」「なぜエンゲージメントスコアが低いのか?」という原因をそのデータだけから見つけるのは困難です。他のデータとの相関を調べることで原因を把握し、仮説を立てやすくなります。(例)営業部では残業時間と離職率の相関が強い→長時間労働により離職が増えている可能性があるまた、相関分析以外では人事評価・360度評価・サーベイなどを調べるのも有効です。(例)20代の女性社員はキャリアについてネガティブなコメントが多い→女性社員のキャリア設計ができていない可能性がある④研修内容を策定する③の仮説を踏まえて、どのような研修を行うと原因を解決できるか仮説を立てます。(例)・残業時間が長い→業務効率化のためのスキル研修・今後のキャリアが描けない→キャリア研修・チームメンバーが不仲→チームビルディング研修また、上記は研修を行ってから解決までにタイムラグがあることが多いです。そこで、いつまでに解決すれば良いのか(1年後、3年後など)を目標設定しておくと良いでしょう。⑤研修の効果を測定する研修後、①で決めた指標が研修前後で変化したかどうかを定点観測します。研修を行ってから数値に反映されるまでタイムラグがあるので、しばらく様子見が必要です。もし時間が経過しても数値が変化しない、またはわずかな変化しか見られない場合、③の原因の仮説や④の研修内容の仮説を見直しましょう。①〜⑤の例会社の離職率を下げたいと仮定するセグメントや時系列で分析したところ、以下の傾向を確認できた営業部の入社3年目以内の社員の離職率が2年前から高い人事データやサーベイを調べたところ、以下の傾向を確認できた・残業時間と離職率の相関が強い・サーベイで人間関係についてネガティブなコメントが多かった→残業過多やチームの不仲により社員が疲弊して離職している可能性が高い「業務効率化やスキルアップ、チームビルディングを行えば残業過多や不仲を解決できる」という仮説を立て、営業スキルの研修、チームビルディング研修などを行った営業部の離職率27%を1年後までに15%に減らすことを目標とした営業部の離職率を定期的(3ヶ月後、6ヶ月後など)に調べ、離職率の変化、上記の研修の効果を確認するデータ分析によくある悩み上記のデータ分析を行う際にもいくつかの課題があります。データの前処理が大変ステップ②③を行うためには様々な人事データが必要ですが、これらは複数のシステムに分散していることがほとんどです(社員情報はタレントマネジメントシステム、残業時間は勤怠管理システム、エンゲージメントスコアはサーベイツールなど)。そのため、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。データの集計やグラフ化が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。BIツールの比較汎用型と人事特化型上記を踏まえて、人事データを分析する際にはBIツールを導入することがおすすめです。BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、人事データ分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されているため、設計コストやデータのコストを小さく抑えることができます。また、他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートもしてくれるため、データ分析の8割とも言われる前処理コストを大きく削減できます。1クリックで色々な軸でデータを分析でき、複数軸のかけあわせもできます。(例)部署別×男女別の離職率散布図やヒートマップを使って複数の人事データの相関を調べることもできます。(例)残業時間と離職率の相関また、取り込んだ人事データを元に、人的資本開示の項目を自動集計してくれます。Human & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下より資料請求お願いいたします。製品を実際に触りたい方はトライアルにお申し込みください。