今回は人事データを活用して人事施策を実施したい人事の方向けに、人事データの分散(サイロ化)と、一元管理のポイントについて解説します。人事データの分散(サイロ化)とはデータの分散(サイロ化)とは元々、企業のITシステムや情報が部門・システムごとに分断され、スムーズにデータ連携できないことを意味します。人事データ活用やピープルアナリティクスが注目されるにつれて、人事データの領域でも同じ現象が課題になっています。人事データの分散とは企業内で人事データがバラバラに管理されている状態ですが、具体的には各データが別々のシステム・担当者で管理されている状態を意味します。(例)人事データシステム担当者社員情報タレントマネジメントシステム総務担当労働時間勤怠管理システム労務担当採用情報採用管理システム採用担当エンゲージメントスコアサーベイツール人事担当etc.人事データ分散によるデメリットデータ取得の手間が増える人事データの担当者が細かく分かれているため、取得したいデータが増えるほど、取得までの手間がかかります。例えば人事部長が「エンゲージメントと離職率と労働生産性の相関を調べたい」と考えたとき、離職率はタレントマネジメントシステムの管理者に問い合わせるエンゲージメントはサーベイツールの管理者に問い合わせる売上情報は販売管理システムの担当者に問い合わせるのように、複数の担当者からデータを集める必要があります。データ集計の手間が増える担当者からデータを取得しても、そのままでは上手く集計できないことがほとんどです。同じようなデータでも、システムが異なるとフォーマットが異なったり表記揺れが存在するためです。(例)社員名姓名の間のハイフンあり・無し(田中 太郎と田中太郎など)社員番号先頭の0のあり・無し(0001と1など)労働時間時間の表記揺れ(1時間30分、90分、1.5時間など)よって、データ取得後にExcelなどでデータを加工しながら集計を行う必要があります。人事データの一元管理のポイントこれらを解決するためにはデータの一元管理が必要です。ここでは一元管理のためのポイントを解説します。人事マスタを構築する人事マスタ(データベース)とは人事データを1つに集約したシステムです。データが人事マスタで一元管理されることにより、上記の取得や集計の手間を削減できます。※人事マスタの構築について詳しく知りたい方は人事データ分析に不可欠! 人事マスタ構築のポイントやツール比較も合わせてご覧ください。利用頻度の高いデータから人事マスタに入力してゆく人事マスタを構築するとしても、最初から全ての人事データを集約しようとすると様々なハードルが存在します。人事マスタは時間がかかる一方で費用対効果の計算が難しいため、経営陣の説得が難しい完成までに時間がかかりすぎ、いつまでもデータを活用できる状態にならないまた、人事データの中にはプライバシー保護などの観点で社内に開示しづらい情報もあり(人事評価や給与など)、そういった情報を人事マスタに入れるのはハードルが高くなります。そこで、まずは社員情報などの利用頻度の高いデータから人事マスタに入力することをおすすめします。人事マスタによりデータの取得や集計の手間が削減できることが社内に周知されれば、他のデータを入力するハードルが下がります。(例)社員情報→入退社情報→人事評価→給与情報Excelでの人事マスタ構築の課題人事マスタを構築するためのツールには、人事システム・BIツール・Excelなどいくつかの選択肢があります。人事マスタをExcelで構築している企業も多いのですが、Excelには色々な課題があります。データの前処理が大変Excelで分析を行う場合、各人事システムからデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。Excelでの集計が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。人事マスタツールの比較上記を踏まえて、人事マスタを構築する際にはツールを導入することがおすすめです。ここでは人事マスタとして活用できるツールをいくつかご紹介します。人事特化型のBIツールデータの統合・集計などに特化したツールです。BIツールには「汎用型」「人事特化型」がありますが、人事マスタを構築するためには人事特化型のBIツールをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。ここではクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。メリット人事でよく使うデータや図表を自動集計できる人事用のデータベースやレポートが標準で用意されているので導入しやすい学習コストが低いので人事のみでも運用できる他の多くの人事システムとAPI連携しており、データ集計などを自動で行えるデメリット機能が分析に特化しており、人事業務(人事考課、スキル管理、サーベイなど)は行えない人事情報システム(HRIS)様々な人事業務(人事労務・経理財務・採用管理・タレントマネジメントなど)をワンストップで行えるツールです。人事データを集約しやすく、HRISで完結してデータを分析しやすいのが特徴です。有名なツールはWorkday、Oracleなどです。メリット分析だけでなく様々な人事業務(人事労務、スキル管理、採用管理など)も行えるデメリット高額なものが多い(月額数百万円など)機能が豊富で学習コストが高い人事以外がデータを閲覧できるようにするのが難しいタレントマネジメントシステムタレントマネジメントに特化したツールです。システム内に社員情報やスキル情報が集約されている他、サーベイ機能なども搭載されているので、それらのデータを使って分析ができます。タレントマネジメントシステム上で管理されていないデータ(勤怠情報など)は、APIで他システムと連携することになります。有名なツールはカオナビ、HRBrainなどです。出典:カオナビメリット分析だけでなくタレントマネジメント業務(人事効果、スキル管理、サーベイなど)も行えるデメリットデータの集計・分析機能が弱い比較ポイントどの人事業務をどのシステムで行うか、人事マスタにどの役割を担わせるかによっておすすめのツールが変わります。人事業務の運用方法人事マスタの運用方法おすすめツール人事マスタ以外で運用しているデータ分析だけを行いたいBIツール人事マスタ上で全て完結させたい人事マスタ上で全て完結させたいHRIS人事マスタ以外で運用しているタレントマネジメントやデータ分析を行いたいタレントマネジメントシステムBIツールについては以下で詳しく解説しているので、そちらをご覧ください。人事データ分析におすすめのBIツールHuman & Humanについて詳しく知りたい方は、以下より資料請求・トライアル申込お願いいたします。