「人事データを元に組織を分析したい」「データを活用して人事施策を企画したい」というニーズが増えていますが、具体的にどのように活用・分析すれば良いのか悩む企業が多いかと思います。本記事では人事データの種類や活用方法について解説します。人事データの種類と活用シーン一口に人事データといっても様々なデータが存在します。ここでは人事データの種類とどのように活用できるかをご紹介します。社員の基本情報年齢・性別・部署・役職・等級・給与などの情報です。社員や部署の特徴(男女比、役職ごとの給与差など)を分析するのに有効です。勤怠情報社員の出退勤時間・残業時間・有給取得日数などの情報です。残業削減や離職防止に使われることが多く、基本情報と組みあわせて労働状況(部署や等級ごとの残業時間など)を分析する後述の入退社情報やサーベイと組みあわせて、退職した(しそうな)社員を分析するなどの使い方があります。人事評価情報人事考課、360度評価などの評価情報です。評価査定や人員配置に使われることが多いです。入退社情報入退社年、退職理由などの情報です。離職防止に使われることが多く、基本情報と組みあわせて退職が多い部署・等級などを分析する勤怠情報と組みあわせて退職と残業時間の相関を調べるなどの使い方があります。スキル情報保有資格、研修の履修状況、保有スキルなどの情報です。人員配置や人材育成に使われることが多く、人事評価と組みあわせて人員配置を検討する社員のスキルを踏まえて研修を策定するなどの使い方があります。サーベイ情報従業員サーベイ(エンゲージメント、モラル、キャリアなど)の回答情報です。キャリアサーベイに基づいて研修を策定する入退社情報と組みあわせてエンゲージメントスコアと退職の相関を調べるなどの使い方があります。活用のポイント分析の目的を決める「人事データを活用したい」からスタートすると、「どのデータを見れば良いか分からない」「データを見てもインサイトを見つけられない」となりがちです。まずは「離職率を下げたい」「残業時間を減らしたい」など、何を実現したいのかを決めましょう。時系列でデータを見る例えば現在の離職率2%という数値だけを見ても、これが良いのか悪いのか判断しづらいです。過去と現在のデータを比較することで(離職率が3年前は8%→1年前は5%→現在は3%など)、数値が改善しているのか、今の数値は良いのか把握できます。↑男女別の離職率の推移。男性の離職率が一定なのに対し、女性のそれがある時期を境に急上昇していることが分かる。複数セグメントを分けてデータを比較する例えば「残業時間が長い」という課題があるとして、「部署別」「役職別」「年代別」など様々な切り口でデータを見ると、どのセグメントで残業時間が多い(少ない)のか、どこの残業時間を削減するとインパクトが大きいのかなどを詳しく把握できます。↑職種ごとの離職率。営業の離職率が高いことが分かる。↑職種・年代ごとの離職率。20-30歳、50-60歳の営業の離職率が高いことが分かる。複数のデータの相関を把握する例えば「離職率が高い」「残業時間が長い」などの課題をデータから把握できたとして、その原因や影響をそのデータから見出すのは困難です。この場合、複数データの相関を調べることで、数値が悪化している原因や影響を詳しく分析できます。(例)残業時間と離職率が相関→長時間労働により離職が増えている可能性が高い↑離職率と残業時間の相関を表す散布図。分析後にアクションを決めるデータを分析して課題を発見した後は、解決のためのアクションを考えましょう。(例)残業時間が多いと離職率が高まる→残業削減の制度を作るExcelでの分析の課題人事データの分析ツールというとExcelが思い浮かびやすいですが、Excelでの分析にはいくつかの課題があります。データの前処理が大変Excelで分析を行う場合、各人事システム(タレントマネジメントシステム、勤怠管理システムなど)からデータをダウンロードするExcelで各データを突合するExcel上で集計やグラフ化を行うという工程を踏むことが多くなります。この1・2の作業を「前処理」などと呼びますが、データの種類や件数が増えるほど前処理の手間も大きくなります(一般的に、データ分析では8割の時間が前処理に費やされるとも言われています)。データを時系列で見るために日次や月次でデータを取得する場合、さらにデータ量が増え、前処理が大変になります。データの集計やグラフ化が大変3の集計・グラフ化についても、色々と切り口を変えてデータを見る度に作業をやり直す必要があります。例えば、全社の残業時間データを見たい→次に部署別のデータを見たい→次に年代別のデータを見たい離職率と勤続年数の相関を見たい→次に残業時間とエンゲージメントスコアの相関を見たいのように色々な分析を行うと、集計やグラフ化だけでも大きな時間がかかります。BIツールの比較汎用型と人事特化型上記を踏まえて、人事データを分析する際にはBIツールを導入することがおすすめです。BIツールには色々な種類がありますが、人事データを分析する上では「汎用型」「人事特化型」の違いが重要です。汎用型とは人事データ以外(営業、マーケティングなど)の分析用途にも使えるBIツールであり、人事特化型とは人事データの分析に特化したBIツールです。汎用型と人事特化型の違いを以下にまとめました。汎用型人事特化型設計コスト大小データの前処理コスト大小学習コスト大小柔軟な権限管理難易様々なコストが小さく済むことから、人事データ分析を行うためには人事特化型のBIツールを使うことをおすすめします。※汎用型・人事特化型について詳しく知りたい方は、人事データ分析におすすめのBIツールをご覧ください。Human & Humanここからはクラウドワークスで開発している人事特化型BIツールのHuman & Humanをご紹介させていただきます。人事でよく使う色々なデータベースや計算式がデフォルトで用意されているため、設計コストやデータのコストを小さく抑えることができます。また、他の多くの人事システムとAPI連携している他、データクレンジングのサポートもしてくれるため、データ分析の8割とも言われる前処理コストを大きく削減できます。1クリックで色々な軸でデータを分析でき、複数軸のかけあわせもできます。(例)部署別×男女別の離職率散布図やヒートマップを使って複数の人事データの相関を調べることもできます。(例)残業時間と離職率の相関また、取り込んだ人事データを元に、人的資本開示の項目を自動集計してくれます。Human & Humanについて詳しく知りたい方は、機能や導入事例をご覧いただくか、以下よりお問い合わせお願いいたします。おまけ:人事データ活用チェックシート弊社で定義した「人事データの活用の理想像」に沿って、企業が人事データをどれぐらい活用できているかを診断できます。弊社で定義した「人事データの活用の理想像」に沿って、人事データ活用を6カテゴリに分類しました。シートでは1カテゴリごとに5問、合計30個のチェック項目を用意しています。全項目に回答すると、カテゴリごとに現在の人事データ活用の課題や改善点をアドバイスしてくれます。人事データ活用チェックシートをダウンロードする